こんにちは、こはりです。
昭和の匂いがプーンと漂ってきます。
「中山式快癒器」
おじいちゃんの家の隅に置いてあったような。
古き良き指圧代用健康器具です。
電源がいらないので、今のご時世にぴったりの省エネ、エコロジーです。
さっそく背中にあてがってみる。
これがまた「効くぅ~」って感じでツボにはまってきます。
科学技術が進歩する現代に、こんな時代遅れなもの…と思われるかもしれません。
しかしこの中山式、イノベーションを忘れません。
知らぬ間に進化を遂げていて、高さ調節が可能となり当たりの強弱を設定できるようになりました。
かゆいところに手が届くとはこのことでしょう。
しばらく背中に当てていて気がつきました。
これは「日本のリストラティブヨガ」ではないかと。
重力に逆らわず、身体の重みにゆだねてリラックスする先進のヨガです。
ストレスフルで交感神経優位な、つまり神経過敏でこわばりやコリを伴う現代人にとっては必要な方法論です。
なにかと気張り、踏ん張り、歯を食いしばって頑張ることが強いられる現代には、重さに身をゆだねて全身の緊張を解いていくことが大切になります。
またデスクワーク主体の就労環境では、前屈のゆがみが生じやすくなります。
前のめり、猫背になってくるということです。
頭が前にせり出してくると、それを支える首に緊張が伴ってきます。
脊髄神経や頚動脈の通路となる首を圧迫した場合、全身的な不調を惹起しかねません。
そんなとき中山式を背中にかませることで突起が脊柱を挟むように当てられるため胸が広がり反り返るような後屈の運動となります。
つまりヨガで言うところの「逆刺激」ゆがみを解消するための方法の一つです。
胸が広がれば呼吸が深まり精神も安定してきます。
この「呼吸が変わること」が健康法の真贋を見極めるポイントになると僕は思っています。
呼吸は自律神経ひいては精神に作用するからです。
からだを単なる筋骨格としてみれば、それはモノの修理に終始してしまいます。
呼吸に焦点を合わせることで、生活習慣や生き方を変えることすらできると思うのです。
また健康法をつぶさに観察すれば、その中に虚実が認められます。
つまりからだをほぐし、ゆるめ、冷ましていくもの、一方で引き締め、鍛え、温めていくもの、という性質の違いです。
インド発祥の純粋なヨガは、くにゃくにゃと柔らかいのが特徴で熱帯の気候風土に照らして放熱に適したものです。
一方、四季という寒暖の差のある日本においては、冬であれば寒さに負けじと筋肉を引き締め身を守っているところもあるわけです。
それは必要あって引き締まってるのであって、その自然の摂理に反してそれをゆるめてしまってはかえって害があるかもしれません。
また古来より腰、ハラつまり丹田を中心として形成されてきた東洋的な身体感覚があります。
日本には日本の気候風土に即したヨガが求められるのではないでしょうか。
禅や陰陽論、密教などを融合した国産の沖ヨガでは強化法という形でただくにゃくにゃと柔らかいのではない、丹田を中心とした安定感のある身体に作り上げていきます。
ヨガをして腰を痛める人が多いのも、そうした気候風土や身体感覚といったマクロな視点が欠落していることに原因があるかもしれません。
エクササイズ的なヨガでは往々にして柔らかさを是とする風潮があります。
とにかく、くにゃくにゃと柔らかい。
しかし、姿勢を支えるだけの筋肉や支え、強靭さや粘りのようなものを欠いている場合が多いのです。
ただ柔らかいだけの弾力を失った筋肉では早晩、椎骨のゆがみを生じ、痛みが発生するでしょう。
一本スジを通すためには、心と体を包括するホリスティックな観点が不可欠です。
腰を据えて、腹を決めて、など身体に直結する胆力や胆識を示唆する言葉はいずれも多分に精神的です。
健やかな心身を維持し幸せな人生を送るためにも、一日の終わり、自分の身体の声に耳を傾ける時間をつくることは大事なことではないでしょうか。
座布団でも枕でも良いと思います。
背中にかませてじっと重さにゆだねてみる。
激しい動きを伴わないだけに、自分のからだや呼吸にフォーカスしていくことができます。
あらためて「生命の発見」があります。
すなわち養生の極意ではないでしょうか。