食事に関して、「何を食べるか」が大切であることは言うまでもありませんが、それにもまして「どのように食べるか」が重要ではないでしょうか。
食べ物を食べるということは、まず口にいれて、歯で噛み砕くことから始まります。
細かくこなして物理的に消化しやすくすることに加え、唾液に含まれる消化酵素を混ぜ合わせ化学的に消化しています。
ですから、時間をかけてじっくり噛むことで、内臓への過度の負担を減らすことができるのです。
反対に、このとき水分を過剰に摂取してしまうと、唾液が薄まり、良く混ぜ合わされないばかりか、胃液をも薄めてしまい消化が不十分になってしまいます。
本来であれば各種の消化液で消化しやすい形に分解され、また人体にとって有害な物質は無毒化されるのですが、その過程を経ないまま腸へと送り出されてしまうのです。
特に未消化のたんぱく質が腸壁から吸収されるとアレルギーの原因になるとも言われています。
また慢性的な内臓疲労は解毒力や排泄力、自然治癒力を低下させる原因にもなります。
それでは、健康のために、どのような食べ方が良いのでしょうか。
「かみしめて味わう」ことです。
その語感には、好意的に受け止め、それを自分のものとするために肯定的に精査、吟味していく真摯さがあるように思います。
その反対に「流し込む」の語感には無配慮、無分別に取り入れてしまう粗雑さがあります。
何かをしながら片手間に食べたり、食物に対して無関心であったり、嫌悪感を抱きながら食べることは、栄養を十分に吸収できないまでか、害になることさえあるのではないでしょうか。
心の影響力が内臓に波及することは、「緊張の場面でお腹が痛くなる」といった卑近な例を出すまでもなく、ごく自明のことです。
「いただきますー美味しゅうございますーごちそうさまでした」
感謝が貫く日本の作法が、心身に好影響を与えるということを今一度再確認しておきたいものです。