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大人のがんばらない減量|第1回
もしかして、便利すぎる暮らしの副作用かも
「昔ほど食べていないのに、なぜか太るんです」
「若い頃と同じように食べているだけなのに、お腹まわりが気になって……」
50代を過ぎると、そんな悩みを持つ方が増えてきます。
食べる量は減ったはずなのに、体重は増えている…。
まるで、誰かが寝ている間に、こっそりカロリーを運んできているようです。
もちろん、そんな小人はいません(笑)。
「大人のがんばらない減量」シリーズ、始めます。
今回から、新しいシリーズ「大人のがんばらない減量」を始めます。
世の中には、痩せるための情報があふれています。
食べる量を減らしましょう。
もっと運動しましょう。
甘いものは控えましょう。
どれも大切なことですが、分かっていても、なかなかできないことってありますよね。
このシリーズでは、「こうしなければ」と自分を追い込むのではなく、
食欲や脂肪、体重など、身体の不思議を少し違う角度から眺めてみたいと思います。
ときには「なるほど」と納得し、ときには「人間って面白いな」とクスッと笑いながら。
身体の不思議を、ちょっと笑って、面白がる。
そして、自分に合った「ちょうどいい」を見つけていく。
そんなシリーズにしていきたいと思っています。
さて、第1回のテーマは、「食べていないのに太る」という不思議です。
もしかすると、身体が悪くなったのではなく、
私たちの暮らしが便利になりすぎたのかもしれません。
今日は、そんなお話です。
食べていないのに太る。身体の中では何が起きている?
体重が長い期間にわたって増えていくとき、一般的には、食事や飲み物から取り入れるエネルギーが、身体の使うエネルギーを少しずつ上回っている状態が続いています。
ただし、それは必ずしも「たくさん食べている」という自覚と一致しません。
例えば、若い頃より食事の量が減っていても、それ以上に日常の活動量が減っていることがあります。
筋肉量が変われば、身体が使うエネルギーにも影響します。
間食やお酒、甘い飲み物、睡眠、服薬、健康状態などが関係する場合もあります。
女性では、更年期前後に脂肪のつき方が変わり、お腹まわりが気になりやすくなることもあります。
つまり、「食べる量が減った」と「太らない」は、必ずしも同じではないんですね。
だからといって、すぐに「もっと食べる量を減らしましょう」という話でもありません。
その前に、少し違う角度から、私たちの暮らしを眺めてみましょう。
身体は昔ながら。暮らしは全自動。
人間の身体には、食べ物からエネルギーを取り込み、使い切れなかった分を脂肪として蓄える仕組みがあります。
脂肪というと、今ではすっかり悪者扱いですが、もともとは大切なエネルギーの備蓄です。
食べ物がいつでも手に入るとは限らなかった時代には、エネルギーを蓄えられることが、生き延びるうえで役立ったはずです。
考えてみれば、よくできた仕組みですよね。
ところが、今の暮らしはどうでしょう。
お腹が空けば、冷蔵庫を開ける。
コンビニへ行けば、いつでも食べ物がある。
階段を上らなくても、エレベーターが運んでくれます。
掃除もロボットがしてくれる時代です。
人間は、身体を動かさなくても済むように、一生懸命、便利なものを発明してきました。
そして今度は、運動不足を解消するために、わざわざお金を払ってジムへ通っています。
便利になったんだか、忙しくなったんだか(笑)。
もちろん、便利な暮らしが悪いわけではありません。
私だって、便利なものは大好きです。
ただ、身体のエネルギーを蓄える仕組みは、今もちゃんと働いている。
一方で、日常生活の中で身体を動かす機会は、昔より少なくなっている。
身体の仕組みと暮らしの環境が、少しちぐはぐになっている。
そこに、現代人の太りやすさを考えるヒントがあると思うのです。
太りやすいのは、生命力の現れ?
ここで、ちょっと大胆なことを言ってみます。
「太りやすい身体って、そんなにダメな身体なんでしょうか?」
食べ物からエネルギーを取り込み、余った分を蓄える。
これは、私たちが生きていくために備わった、大切な働きです。
昔なら、食べ物が手に入らないときのために、蓄えがあることは心強かったでしょう。
そう考えると、脂肪を蓄える身体の仕組みには、生命を守るための知恵があるとも言えます。
一般的には、太りやすい人は、胃腸の消化、吸収の働きが活発な傾向があります。
しかし、太りやすさには、体質や活動量、食生活、睡眠、健康状態など、さまざまな要因が関わります。
また、脂肪は身体に必要なものですが、過剰に蓄積すれば、健康上のリスクにつながることもあります。
それでも私は、身体をただの敵として見る必要はないと思うんです。
脂肪を蓄える仕組みそのものが悪いのではなく、
その仕組みが働く環境が、大きく変わったということ。
身体にしてみれば、
「私は昔から、ちゃんと仕事をしているんですけど……」
と言いたいかもしれませんね。
50代を過ぎて、身体より先に変わったもの
ところで、体重が増え始めた頃、
あなたの暮らしには何か変化がありませんでしたか?
仕事の内容が変わった。
車に乗る時間が増えた。
親の介護が始まった。
以前ほど眠れなくなった。
「なぜ太った?」と考えるより、「いつから太り始めた?」と振り返ってみる。
体重の変化をたどると、暮らしの変化が見えてくるかもしれません。
私も61歳。昔の自分とは、少し違います
私も61歳になりました。
美味しいものは大好きですし、お酒も楽しみたい。
健康のために、好きなものを全部我慢する生活はしたくありません。
ただ、最近は、若い頃と同じようにはいかないな、と感じることもあります。
以前なら何ともなかった食事でも、翌朝、ちょっと身体が重い。
楽しく飲んだつもりが、夜中に目が覚める。
そんなこともあります。
だから最近は、食べるときに、もう一つ考えるようになりました。
「これを食べた後の身体も、気持ちいいかな?」
食べている瞬間の美味しさも大切。
でも、その後の身体の心地よさも大切。
どちらか一方ではなく、両方を楽しみたいんです。
私が大切にしているのは、
「美味しい・楽しい・気持ちいい」
食べすぎたら、次の食事で少し調整する。
座っている時間が長かったら、外を歩いてみる。
疲れているときは、無理せず休む。
毎日完璧でなくても、またととのえ直せばいい。
そんな付きき合い方が、今の自分には合っていると感じています。
やすらぎの里で大切にしていること
やすらぎの里では、30年にわたって、食生活や体調を見直したい方々をお迎えしてきました。
断食に興味を持つ、きっかけの一つが、減量です。
「体重を落としたい」
「お腹まわりをすっきりさせたい」
そんな思いで来られる方もいます。
私は、痩せたいという気持ちを否定はしません。
ただ、その先にある願いも、大切にしたいんです。
例えば、
「5kg痩せたら、何をしたいですか?」
旅行先でもっと歩きたい。
好きな服を気持ちよく着たい。
趣味を長く楽しみたい。
健康への不安を少なくしたい。
そう考えると、減量はゴールというより、これからの人生を楽しむための一つの手段になります。
やすらぎの里で大切にしているのも、ただ食べる量を減らすことではありません。
日常から少し離れて、食事や睡眠、身体の感覚を見つめ直す。
温泉に入り、自然の中を歩き、ゆっくり休む。
断食や養生食を通して、普段は気づきにくい食欲や満腹感にも目を向けてみる。
そんな時間の中で、自分に合った「ちょうどいい」を探していきます。
まずは3日間、暮らしを観察してみる
では、今日から、何をすればいいのでしょう。
私は、いきなり食事を減らすよりも、まず3日間だけ、自分の暮らしを観察してみることをおすすめします。
難しい記録はいりません。
何を、どんな気持ちで食べたか。
食事だけでなく、お菓子やお酒、甘い飲み物も含めて振り返ってみる。
どのくらい動き、眠れたか。
よく歩いた日と、座っている時間が長かった日。
ぐっすり眠れた日と、眠りが浅かった日。
翌朝、身体はどう感じたか。
軽い、重い、すっきりしている、疲れが残っている。
そんな小さな違いを見てみましょう。
カロリーを細かく計算する必要も、自分を反省会にかける必要もありません。
「今日はあまり動いていなかったな」
「疲れた夜ほど、甘いものが欲しくなるんだな」
そんな発見が一つあれば十分です。
自分の身体のことなのに、案外、知らないことがあるものです。
身体を責めるより、身体を面白がってみる
50代を過ぎて「食べていないのに太る」と感じたら、まず食事の量だけでなく、暮らし全体を眺めてみましょう。
昔より動く量が減っていないか。
食べる時間や、眠る時間が変わっていないか。
疲れたとき、どんなものが欲しくなるのか。
私たちの身体は、毎日、黙々と働いています。
食べたものを消化し、エネルギーを使い、必要なものを蓄え、眠っている間も身体を保っている。
そう考えると、なかなか健気ですよね。
そんな身体を体重が増えたからといって、すぐに叱りつけなくてもいいと思うんです。
もちろん、健康のために、減量が必要な場合もあります。
でも、身体を責めることと、身体を大切にすることは違います。
身体の不思議を、ちょっと笑って、面白がる。
そして、自分に合った「ちょうどいい」を見つけていく。
それが、この「大人のがんばらない減量」で、皆さんと一緒に考えていきたいことです。
健康のために、人生を我慢するのではなく、
人生を楽しむために、身体をととのえる。
そんな減量ができたら、いいですね。
次回は、今回ちょっと悪者扱いしてしまった「脂肪」のお話です。
でも、脂肪にだって言い分があるはず。
「脂肪って、そんなに悪いやつですか?」
そんなところから考えてみたいと思います。
最後に、一つ質問です。
皆さんは、体重が増え始めた頃、暮らしにどんな変化がありましたか?
よかったら、コメントで教えてください。
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