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断食すると、身体の中で何が起きる? 3日間で変わるエネルギー代謝

「食べなかったら、身体は何をエネルギーにして動いているんですか?」

断食をしているゲストから、
そんな質問をいただくことがあります。

食事をしないと、
外から入ってくるエネルギーはなくなります。

でも、人間の身体には、
食べ物が入ってこない時間にも、
エネルギーを作り出す仕組みがあります。

大まかにいうと、
食べない時間が続くにつれて、身体が使う燃料は、
徐々に利用する割合が変わっていきます。

ここで大切なのは、
スイッチのようにパチンと切り替わるわけではない、
ということ。

身体は、
そのとき使えるエネルギーを使いながら、
少しずつ食べない状態に適応していきます。

今回は、
断食中に身体の中で何が起きているのか。

3日間のエネルギー代謝の変化を、
できるだけ分かりやすく紹介します。

断食・ファスティングとは?

1.食後、身体は何をエネルギーにしている?

まず、普段の食事をした後から見てみましょう。

食事をすると、
炭水化物は消化され、
主にブドウ糖として吸収されます。

血液中のブドウ糖が増えると、
膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンには、
ブドウ糖を細胞に取り込ませたり、
余ったブドウ糖を肝臓や筋肉に、
グリコーゲンとして蓄えたりする働きがあります。

さらに余ったエネルギーは、
脂肪として蓄えられます。

つまり食後の身体は、

入ってきたエネルギーを使い、
余ったものを蓄える時間。

このときは外からエネルギーが入ってくるので、
身体に蓄えてある脂肪を積極的に取り出す必要は少なく、
脂肪の分解は抑えられています。

2.食べない時間が始まると、「貯金」を使い始める

食後しばらくして、
腸から入ってくる栄養が減ってくると、
身体の中にも変化が起こります。

インスリンが低下すると、
肝臓は、蓄えていたグリコーゲンを分解し、
血糖値を保つために使い始めます。

いわば、

身体の中に貯めておいた
「エネルギーの貯金」を使い始める。

そんな状態です。

同時に、脂肪組織からも脂肪酸が放出され、
エネルギーとして使われる割合が少しずつ増えていきます。

だから、

「食事からのブドウ糖がなくなった。はい、ここから脂肪です」

と突然切り替わるわけではありません。

身体はブドウ糖と脂肪を併用しながら、
その割合を少しずつ変えていきます。

3.グリコーゲンが減ると、脂肪を使う割合が増えていく

肝臓に蓄えておけるグリコーゲンの量には限りがあります。

食べない状態が続くと、

  1. 肝臓のグリコーゲンが減る
  2. インスリンが低い状態になる
  3. 脂肪組織の中性脂肪が分解される
  4. 脂肪酸が血液中に放出される
  5. 肝臓や筋肉などが脂肪酸を燃料として利用する

という流れが進んでいきます。

これが、断食中に
「脂肪の利用が増える」といわれる状態です。

ただし、

「食べなくなって〇時間で、脂肪燃焼のスイッチが入る」

と一律に決められるものではありません。

・直前にどのくらい炭水化物を食べたのか。
・どのくらい身体を動かしたのか。
・筋肉量はどのくらいあるのか。
・普段どんな食生活をしているのか。

こうした条件によって変わります。

肥満や糖尿病の有無、
インスリン感受性などによっても違いがあります。

一般には、食べない時間が長くなるにつれて、
脂肪やケトン体への依存が強まっていきますが、
「16時間経てば全員のスイッチが入る」
というような単純な仕組みではありません。

4.脂肪から「ケトン体」という燃料が作られる

脂肪組織から放出された脂肪酸の一部は、
肝臓へ運ばれます。

肝臓では脂肪酸が分解され、
そこから「ケトン体」が作られます。

大切なのは、

食事からブドウ糖が入ってこない状態が続くと、
身体は蓄えていた脂肪を利用し、
そこからケトン体という別の燃料も作るようになる。

ということです。

ケトン体は血液によって全身へ運ばれ、
筋肉などのエネルギー源になります。

そして脳も、
食べない状態が長くなるにつれて、
ケトン体を利用する割合を増やしていきます。

人間の身体には、
食べ物が手に入らない時間が続いても生きていけるように、
使う燃料を変えて適応する仕組みが備わっているのです。

5.では、「3日」で何が変わるのか

ここまで読むと、

「では、3日断食にはどんな意味があるの?」

と思いますよね。

食べない状態が数日間続くと、
ケトン体の産生と利用がさらに増えていきます。

一方で、身体にはブドウ糖を必要とする組織もあります。

そこで断食の初期には、
肝臓が乳酸やアミノ酸などを材料に、
ブドウ糖を作る「糖新生」も行われます。

このため、身体のタンパク質も一部使われます。

しかし身体は、
筋肉などのタンパク質をできるだけ使いすぎないよう、
ケトン体をより多く使う方向へ変化していきます。

こうした変化は、
人を対象にした絶食研究でも確認されています。


断食前〜1日目

食事由来のエネルギーが減り、
蓄えていたグリコーゲンの利用が進む。
脂肪の利用も徐々に増える。

3日目ごろ

グリコーゲンへの依存がさらに小さくなり、
脂肪酸やケトン体の利用が増えていく。
糖新生も重要になる。

3日目ごろ

ケトン体の産生・利用がさらに高まり、
身体は食べない状態への適応を進めている。

※これは大まかな流れです。
変化する時間や程度には個人差があります。


より正確にいうなら、

数日かけて、身体が、
ケトン体などをより利用する代謝へ適応していく。

ということです。

身体の中では、
こんな変化が少しずつ進んでいます。

もちろん、これを自分で
「いまケトン体が増えている」と感じるわけではありません。

実際の断食では、
「最初は食べ物のことばかり考えていたのに、少し落ち着いてきた」
「空腹の感じ方が変わった」
という方もいます。

身体の変化と、
本人が感じる変化は同じものではありません。

けれど3日という時間を過ごすことで、
身体だけでなく、
食べることへの感覚にも
変化が生まれることがあります。

1日目、2日目、3日目と過ごす中で、
食欲や身体の感覚がどう変わっていくのか。

そして、なぜ断食後の「回復食」まで大切にしているのか。

こちらの記事で詳しく紹介しています。

なぜ3日断食? やすらぎの里が「3日間」を大切にしている理由

6.身体は「切り替わる」のではなく、「適応していく」

断食について調べると、

「16時間で脂肪燃焼スイッチが入る」
「〇日でケトン体モードになる」

といった説明を見かけることがあります。

分かりやすい表現ではありますが、
実際の身体はもう少し複雑です。

・ブドウ糖だけ。
・脂肪だけ。
・ケトン体だけ。

というように、
パチンと切り替わっているわけではありません。

そのときの身体の状態に合わせて、
複数のエネルギー源を使いながら、
その割合を変えていきます。

僕は、この「適応していく」
というところが大事だと思っています。

身体は、
食べ物が入ってこない時間にも、
何もしていないわけではない。

今あるものを使いながら、
その状態に合わせようとしている。

身体って、よくできています。

7.3日断食で本当に大切にしていること

では、やすらぎの里では、
こうした代謝の変化を起こすために、
3日断食をしているのか。

それだけではありません。

むしろ、30年間たくさんのゲストを見てきて、
僕が大切だと感じているのは、

断食を通して、
自分の身体や食べることへの感覚に気づくこと。

です。

最初は、

「お腹が空いた」
「何か食べたい」

と思っていた人が、
時間がたつにつれて、

「本当にお腹が空いているのかな?」
「いつも時間が来たから食べていたのかも」

と気づくことがあります。

そして断食の後、
久しぶりに食べ物を口にすると、

「こんなに味がしたんだ」

と驚く人もいます。

普段は当たり前すぎて気づかなかったことに、
食べない時間があることで気づく。

だから、
やすらぎの里で考える断食は、

身体を追い込むための時間ではありません。

自分の身体の声を、
もう一度聞いてみる時間です。

8.大切なのは、「何日食べなかったか」だけではない

断食中、身体の中では、
さまざまな代謝の変化が起こっています。

・脂肪の利用が増える。
・ケトン体が作られる。
・使うエネルギーの割合が変わっていく。

こうした仕組みを知ることも大切です。

でも僕は、

「何日食べなかったか」だけが、
断食の価値ではない

と思っています。

お腹が空いたとき、
身体はどう感じているのか。

疲れているのか。
元気なのか。

食べ物を口にしたとき、
どんな味がするのか。

自分は普段、
本当にお腹が空いて食べていたのか。

それとも、
時間や習慣やストレスで食べていたのか。

食べない時間があることで、
そんな自分の感覚が見えてくることがあります。

断食は、身体を変えるために、
頑張る時間ではなく、
自分の身体の感覚に気づき直す時間。

身体の中で、
起きていることを少し知っていると、
断食の時間も、
また違ったものに感じられるかもしれません。

断食について、もう少し知りたい方へ

「やすらぎの里では、実際にどんな断食をするの?」という方へ
断食・ファスティングとは?

「なぜ3日間なの?」をもっと詳しく知りたい方へ
なぜ3日断食? やすらぎの里が「3日間」を大切にしている理由

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