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食べていないとき、身体は何をエネルギーにしている?

やすらぎの身体講座

先日、断食中のゲストの方から、
こんなことを聞かれました。

「食べていないときって、身体は何をエネルギーにしているんですか?」

確かに、不思議ですよね。

食事をしていないのに、心臓は動いている。

呼吸もしているし、頭も働いている。

人によっては、散歩に出かける元気もある。

食べ物からエネルギーが入ってこない間、
身体はいったい何を使っているのでしょう。

先に答えを言うと、
身体は一つのものだけを
エネルギーにしているわけではありません。

食事から得たブドウ糖。
肝臓に蓄えたグリコーゲン。
身体の中で新しく作るブドウ糖。

そして、
蓄えていた脂肪や、
そこからつくられるケトン体。

食べない時間が続くと、
これらを使う割合を少しずつ変えながら、
必要なエネルギーをつないでいます。

今回は、
断食中の身体の中で何が起きているのか、
できるだけやさしく見ていきましょう。

※この記事は、身体の仕組みを知るための一般的な解説です。
断食は、持病や妊娠中など、身体の状態によって適さない場合があります。

まずは、食事から入ってきたエネルギーを使う

食事をすると、ごはんやパン、
果物などに含まれる糖質は消化され、
主にブドウ糖として身体に取り込まれます。

ブドウ糖は血液を通して全身に運ばれ、
身体を動かすためのエネルギーとして使われます。

そして、
すぐに使わなかったブドウ糖の一部は、
「グリコーゲン」という形で、
主に肝臓や筋肉に蓄えられます。

食事からエネルギーが入ってこなくなると、
肝臓は蓄えていたグリコーゲンを分解して、
血液中へブドウ糖を送り出します。

つまり身体には、

食べられない時間に備えて、
エネルギーを蓄えておく仕組み
があるのです。

身体の中で、新しく糖をつくる「糖新生」

肝臓がグリコーゲンを分解する一方で、
身体は別の方法でもブドウ糖をつくっています。

それが、

「糖新生(とうしんせい)」です。

名前だけ聞くと、難しそうですね。

簡単にいうと、

食事から糖が入ってこないときにも、
身体の中にある材料からブドウ糖をつくる仕組み
です。

乳酸やグリセロール、
アミノ酸などを材料にして、
主に肝臓などでブドウ糖がつくられます。

糖新生は、
グリコーゲンを使い切ってから
突然始まるものではありません。

食べない時間の比較的早い段階から働いていて、
絶食時間が長くなり肝臓のグリコーゲンが減ってくるにつれて、
血糖を支える役割が大きくなっていきます。

身体の中には、
ブドウ糖を必要とする組織があるため、
食事から糖が入ってこなくても、
身体は必要なブドウ糖を自分でつくっているのです。

蓄えていた脂肪も使われる

そして、
もう一つ大切なエネルギー源があります。

脂肪です。

僕たちが身体に蓄えている脂肪は、
単に「余計なもの」ではありません。

必要なときに使える、
大切なエネルギーの貯蔵庫でもあります。

食べない時間が続くと、
脂肪細胞に蓄えられていた中性脂肪が分解され、
脂肪酸とグリセロールになります。

脂肪酸は、
さまざまな組織でエネルギーとして利用されます。

さらに肝臓では、
脂肪酸から「ケトン体」がつくられます。

絶食時間が長くなるにつれてケトン体の利用も増え、
脳を含む身体のエネルギー源の一つになります。

身体は「スイッチ」のようには切り替わらない

ここは、
断食を理解するときに大切なところです。

「糖を使い切ったら、脂肪燃焼モードに切り替わる」

という説明を聞くことがあります。

分かりやすいのですが、
実際の身体は、そこまで単純ではありません。

ある瞬間を境に、

糖の利用がゼロになって、脂肪だけを使う


というわけではないのです。

食事から得たブドウ糖。
肝臓に蓄えていたグリコーゲン。
糖新生によってつくられるブドウ糖。
脂肪酸やケトン体。

身体は、それらを同時に使いながら、
食べない時間が長くなるにつれて、
その割合を少しずつ変えていきます。

スイッチを「カチッ」と切り替えるというより、

エネルギーの使い方が、だんだん変わっていく。

そんなイメージの方が近いでしょう。

「お腹が空いた」は、エネルギー切れではない

断食を始めたゲストの方から、

「お腹が空いたら、力が出なくなると思っていました」

と言われることがあります。

もちろん、断食中の感じ方には個人差があります。

空腹を強く感じる人もいれば、
だるさや頭痛などを感じる人もいます。

ただ、

「お腹が空いた=身体のエネルギーがなくなった」

というわけではありません。

食べ物が入ってこない間も、
身体は蓄えていたものを利用し、
必要なものをつくりながら、
エネルギーをつないでいます。

断食をしているゲストの方から、

「食べていないのに、意外と大丈夫ですね」

と言われることが、よくあります。

普段は、

朝だから食べる。
12時になったから食べる。
休憩時間だから食べる。
疲れたから甘いものを食べる。

そんなふうに、
「身体が本当に空腹なのか」を
意識する前に食べていることもあります。

断食という体験を通して、

「お腹が空くって、こういう感じだったんだ」

と、あらためて自分の身体の感覚に気づく方もいます。

それも、食べることから
少し離れてみる意味の一つなのかもしれません。

脂肪は、やっつけるもの?

減量をしていると、
「脂肪=悪いもの」と思ってしまいがちです。

お腹についた脂肪を見て、
「こんなの、なければいいのに」
と思うこともありますよね。

でも、身体の仕組みを知ると、
少し違って見えてきます。

脂肪は、
必要なときに使うために、
身体が蓄えているエネルギーでもあります。

蓄える → 必要になったら使う。

本来は、
その両方があるわけです。

だから僕は、

「脂肪をやっつける」というより、

「蓄えているエネルギーを、身体が上手に使えるようにする」

と考える方が、
身体にはやさしいように感じています。

これは、減量を考えるときにも大切な視点です。

身体って、よくできている

最初の質問に戻りましょう。

「食べていないとき、身体は何をエネルギーにしているんですか?」

答えは、一つではありません。

食事から得たブドウ糖を使う。
肝臓に蓄えたグリコーゲンを使う。
糖新生によって、新しいブドウ糖をつくる。

蓄えていた脂肪を脂肪酸として利用し、
そこからつくられるケトン体も使う。

そして食べない時間が続くにつれて、
それぞれを使う割合が少しずつ変わっていきます。

食べ物が入ってこない間も、
身体の中では、
必要なエネルギーをつなぐ働きが続いているのです。

断食というと、
「食べないこと」ばかりに目が向きます。

でも、その裏側では、
身体がそのとき使えるものを使いながら、
絶えず調整を続けています。

その仕組みを知ると、
自分の身体を見る目も、
少し変わってくる気がします。

身体って、よくできている。

断食は、
そんな自分の身体の働きに
気づく時間でもあるのかもしれません。

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