2009 8/30 (日曜日)

ヨガと食 身近にある自然

こんにちは、こはりです。
今日もヨガのお話。

暑さの厳しい風土で発展したヨガの成り立ちをみると、縮こまって力み体を温めるというよりは、体をほぐし伸びやかに解放して、ほてった身体をさましていく要素が強いのだろうと思う。

インドにおける食文化も同様に野菜食とスパイスはいずれも体をゆるめ冷やす作用が強い。

ところがヨガを日本で適用しようとした場合、インドとの気候風土の違いを無視することはできない。

日本はインドに比べ、はるかに冷涼で変化に富んだ四季のうつろいもある。

ヨガと食文化を本場と全く同じように日本で適用した場合、ゆるみすぎ、冷やしすぎの弊害が起こるとも限らない。

その証左として日本ではパワーヨガやホットヨガなど、身体を引き締め、温める方向性がもてはやされている。

いずれにしろ、身体文化や食文化はその土地の風土と切り離せないだろう。

ここ日本においては、四季に応じたバリエーションや、ゆるめるべきところはゆるめ、引き締めるべきところは引き締める、メリハリの利いたアーサナのあり方が模索される。

それは武道や相撲など伝統的な日本人の身体感覚に裏打ちされた極意としての「丹田」や「腰・肚」感覚の再評価につながるかもしれない。

食に目を転じても、日本の風土に培われた伝統的な和食の持つポテンシャルは現代においても変わることはなく、ますます真価が発揮されるべきであると考える。

特に米や根菜類などの穀物は、精神的な、または身体的な土台としての「根っこ」を醸成するのに不可欠だろう。

しっかりとした歯ごたえと腹に納まる充実感はフワフワとしたパン食では得がたい。

またヨガの重要な要素ともいえる呼吸の観点からも穀物と野菜を中心とした和食の効用が見出せる。

動物性食品の過剰摂取は血液の酸傾(アチドーシス)を招き、血中により多くの酸素を送り込む必要が生じてくる。そのため呼吸数が増える。

つまり穀物菜食を基本としてきた日本人が西洋近代的な肉食に迎合した場合、呼吸は浅く速くなり、ゆったりとした丹田呼吸がままならないまでか、精神的な平静を保つのが難しくなる。

あらためてヨガと食との関わりについて考えるとき、気候風土、食、身体文化いずれも不可分であることに気づく。

科学技術の進展する現代において、前近代的とも思えるヨガがこれほどまでに浸透し、さらにそのニーズが高まりつつあるということは、それが「自然性の回復」にあるからに違いない。

生命にとっての不自然さを極めた現代的な病理ともいえる、「行き詰まり」や「生きにくさ」を感じる人々が、最後のよりどころとしたのが他の誰でもない自らの身体を直視するヨガだったのではなかろうか。

大方の物質的な豊かさを享受してきた現代人だからこそ、ヨガに期待される可能性もますます大きくなってきている。

個人の肉体から地球、そして宇宙へとつらなる智慧を内包するヨガの示す未来は明るい。

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