2010 5/24 (月曜日)

デトックス再考

こんにちは、こはりです。

「デトックス」西洋的な概念としてのそれは、外部から入ってくるネガティブなもの、例えば毒素が体内に蓄積することを良しとせず、外部に排出していくプロセスを言います。

現在のこの自分の体は悪いものに汚染されているとする身体観です。

そこには必然的に自己嫌悪が潜在します。

一方で伝統的な東洋の身体観には虚実理論というものがあります。

俗に言う「コリ」は、ある一部分に気(エネルギー)が集中することにより起こると考えます。

何か行動を起こそうとするとき、その方向に向けて気持ちが向かいます。

これ自体は当然のことで病的状態ではありません。

しかし、この集まった気持ちが、そこにあり続けることに問題があるわけです。

心の執着によって、その気持ちはある部分に偏り、滞り、充満し、固定化してきます。

これがコリです。心身ともに凝り固まることです。

東洋医学的な理想状態とは、とらわれを手放して、フレキシブルに循環していくことです。

どこか一部に偏ることなく全身にくまなく行き渡る状態です。

心身一如、心と体は分かちがたく結びついているとする東洋医学では、肉体的な治療に終始せず、おのずと究極的には心のありよう、心身の解脱、さとりの方向が示されていくわけです。

前述の通り西洋的なデトックスには、外部に悪い物が想定されます。

重金属と言ったり、化学物質と言ったりします。

それが実際どれほど人体に影響するかは医学界でも諸説様々ですが、通底するスタンスとしては、外部に仮想敵をつくることで、モチベーションが強化され方法が明確化します。

意図的に排泄していくことになります。

一方で東洋的な観点では、絶対的な悪もなければ、絶対的な善もなく、一時的な状態がそこにあるだけです。
そしてエネルギーの善用によって副次的にデトックスが起こりえます。

自然体、つまり良いものを完全に吸収し悪いものはすべて出し切れる身体を作り上げることに専心するからです。

意図して排泄に特化しなくても、体に備わった力が顕在化すれば必要なことが行われるわけです。

もっと言えば「清濁併せ呑む」のことわざ通り、それが毒になるか薬になるか、短絡的、人為的に決められるものではありません。

商業的に規定することはあっても、それは商業戦略でしかありません。

いまだ未知なる人間の体という関数が考慮されずに、毒だと決め付けることは生命に敬意を持つほどに早計と言わざるを得ないでしょう。

毒を薬に変えてしまう可能性すら生命はもっていてもいいはずです。

振り返ってみても、不幸としか言いようのなかった過去の出来事が、人生の糧になっていることが往々にしてあるものです。

同様に無菌状態であることが人体の抵抗力を弱めてしまうということに想像力が働いていいわけです。

いわんや生命に全幅の信頼を置く、これが東洋的な身体観だと考えます。

また東洋的な立場で違和感を抱くのは、出せば済んでしまうのかということと、出したものはどうなるのかということです。

不摂生をしても、出してしまえばそれで完結してしまい、自己を省みる機会を得られないこともあるでしょう。

つまり免罪符的な発想です。

安易な免罪符発行は結局また同じ過ちを繰り返すことにつながるでしょう。

一時しのぎでしかなく、根本的な解決をみません。

また、けがらわしい悪とみなしたものを外部に排出していくことに背徳感がありはしないかということです。

言うならば「産業廃棄物」の行く末を案じることができるでしょうか。

生態系をつぶさに観察すれば、食物連鎖で共生しています。

排泄物も微生物の栄養となり、植物を育みます。

人類が地球上に生きていく上で享受した恩恵を返すことは、生命体として最低限のルールです。

ところが、自分さえ良ければ汚物を排出して他者をまたは環境を汚してもいいという発想と容易に結びつくデトックス概念は、西洋近代的な個人主義に由来しているとみることもできますが、持続可能性を求めていけば、個人とそれを取り巻く環境をも包含した視座で個人の健康も論じていかなければならないでしょう。

善と悪の二元論はとてもわかりやすく、訴求力があります。

具体的な方法が示しやすく、精力を傾注しやすい特徴があります。

一方で、自分の内部に重きを置くことで、方法も結果も目に見えづらくなります。

しかし、大切なものは目に見えないものが多いということも経験から知るところです。

持続可能な本当の健康観へ。

自然と調和、共生してきた日本人の感性はここにきて発揮されるべきでしょう。

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