私のお師匠さんはそれぞれの分野でたくさんいますが、
ひとりだけあげなさいと言われたら、常岡一郎先生ということになります。
常岡先生は、私の鍼灸と漢方の先生の人生の師で、
私が漢方の先生から常岡先生のことを教えてもらったときには、
もうすでに亡くなられた後でした。
漢方の先生から、折にふれて、常岡先生の言葉を聞かされていたので、
いつの間にか私も常岡先生のことを師と仰ぐようになりました。
常岡先生の言葉は、何かに行き詰ったときや、
つらいことがあったときに、読み返すと
心にしみこむように入ってきます。
常岡先生はたくさんの著書を出されていますが、
今日はその中から「反省」という文章を紹介します。
「反省」
反省、これはかえりみて省くということである。
かえり見て悪いところがあったら省く。
汚いものは拭き去る。
無駄なものは取り除く。
そうして大切なもの、必要かくべかざるもの、それだけを守る。
だから、さわやかになる。
それが反省の尊い意味である。
よく反省して、まず自らの姿をありのまま見つめる必要がある。
鏡が大切にされる。
これは本当の自分を教えてくれるからである。
他人ならお上手もいう。お世辞もいう。
しかし、鏡は遠慮しない。
悪いところは、悪いままに映してくれる。
墨がついた汚れた顔も、そのまま映し出してくれる。
だから汚れをぬぐえる。きれいにふける。心も明るくなる。
それでこそ誰に会うのも恐れない。
自身と安心が生まれる。
こころに無駄がなくなる。
心は晴れる。
反省は、人生の鏡である。
だからきびしい反省は、自分の汚れをはっきり教えてくれる。
自分の過去の汚さや、みにくさ、未熟さ、これがはっきりする。
それがわかったら除けばよい。
それに悩んではならない。
自らの欠点で、心まで暗くなってはならない。
かえりみて除く、省く。
その点にのみ努力すべきである。
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