「リラクゼーションとは」
リラクゼーションとは、自分の力で意図的に制御できない自律反応である、脳波、内分泌、循環器系の状態をコントロールすることで、心身の安定をもたらすことであるといえます。この心身のストレスや緊張をうまくコントロールする技法はヨーガや気功などの基本でもあると言えます。
どんな病気を治すプロセスにも心身のリラクゼーションが重要であることは、広く知られるようになりました。広い意味では、今はやりの音楽療法、アロマテラピー、温泉療法や呼吸法、瞑想、座禅などもリラクゼーションのための技術と言えます。
今回はこのリラクゼーションをさまざまな角度からウオッチングしてみます。
「日本人とリラックス」
リラックス”Relax”という言葉は、”Re ”と
”Lax”から成り立っています。「ゆるむという意味の”Lax”に回帰性を示す”Re ”という接頭語が付いて「ゆるんで再び元の状態に戻る」という意味が含まれています。緊張・ストレスを緩和・解消して本来の自分のあるべき状態や機能を取り戻すという意義があるのです。
しかし、リラックスするというと勤勉で一途で遊びの下手な多くの日本人は「無為に過ごす」「たるんでいる」「怠ける」といったマイナスのイメージを抱きがちです。何もしないことに罪悪感や嫌悪感をもち、せっかくの休日にも出勤したりと「何か生産的なこと」をぜずにはいられません。
この習性は日本人が農耕民族で、隣人や村社会との和を重んじ、力を合わせて農作業に取り組まねばならなかった長い歴史の結果かもしれません。和を乱す協調性のない行動は許されないというのは、現代のサラリーマン社会にも生きています。この点は徹底して個人主義・能力主義の欧米社会と異なります。遊びにしても夏のバカンスを数週間もとるなど、日本ではまだ受け入れられないことですが、活力ある明日の為には、今日のリラックスが不可欠です。休日にごろ寝では疲れは取れず、むしろ軽くスポーツなどで身体を動かしたほうがリフレッシュ出来ます。
「ストレスとリラックス」
身体がストレス状態の時、呼吸・心拍数が増加し、血圧が上昇、皮膚温が低下するという交感神経
緊張の症状が現れます。逆にリラックスの時は、呼吸数・心拍数が減少、血圧も低下、皮膚温が上昇します。これは悩みや悲しみ、怒りなどから開放されて心とからだが幸せを実感したときの生理状態と同じなのです。
一般にストレスの原因と思われている仕事や勉強をしていても、好きなことに熱中しているのなら本人はとてもリラックスしているのです。「人生を愉快に生き、辛いストレスもプラス思考で乗り切れば幸せになれる」と説いた本がありました。なるほどその通りなのですが問題は、悩みや悲しみや怒りといった情動に関する強いストレスは、大脳の辺縁系(大脳の本能的な部分)に影響を与え、トラウマ(精神的外傷)という歪みを残すので、似たような場面に出くわしたり、思い出したりしただけで交感神経が緊張してしまいます。いくら大脳の新皮質(大脳の理性的な部分)がプラス思考で乗り切ろうと思っても、辺縁系の脳が避けたいと判断すれば、身体は正直にストレス反応を示すのです。こんな場合、ストレッチや呼吸法など身体に直接働きかけることで、筋肉への刺激が大脳辺縁系に伝わって歪みを癒し、リラックスできるようになるのです。
「ストレッチはリセットボタン」
筋肉が緊張しているということは、筋肉が縮んでいる状態と言えます。筋肉状態は常に脳に伝えられているので、筋肉の緊張は脳神経の緊張であるとも言えます。ところが筋肉は適度に引っ張られると緊張状態が解消されます。そしてその状態が脳に伝えられると、筋肉の緊張をモニターしていたデータがご破算になるのです。つまり筋肉の弛緩は脳の緊張からの解放を意味しているといえるでしょう。
ですからストレッチをするとそれまでの金の緊張がリセットされて、次の運動がスムーズになってきます。また筋肉を引っ張ると筋肉は伸びやすくなり、もっとよく収縮することができるようになります。このとき身体の緊張の解消は、疲労物質がなくなるだけでなく、脳にとっても緊張の解消として意識され、それがリラクゼーションへとつながっていくのです。このとき呼吸のタイミングも大切で、息を詰めて力んで筋肉を伸ばすのはよくありません。筋肉を伸ばすときには、ゆっくりと息を吐きながら筋肉を伸ばした状態を10~20秒くらい維持します。またストレッチをするときに気をつけなければいけないのは、痛みを我慢しないということで、無理をして脳に痛みの情報を送ってはいけません。
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