「やはり体質ってあるんでしょうか」
世間にはさまざまな健康法やダイエット法があふれています。色々な雑誌に「~が効いた」という記事が毎月のように載っています。体験者の声が掲載されていて、たしかにその人には実際に効果があったようです。しかし、それらは本当に自分にも効果があるのでしょうか。人はそれぞれ、顏かたちや性格が違うように、体質も異なります。ある人には効果がある方法でも、違う人がやっても全く効果が見られないとか。そんなに食べるわけではないのにすぐ太る人と、好きなものを好きなだけ食べても全く太らない人がいます。自分の体質をよく分かっていないと、せっかく努力しても、その方法が自分の体質に合わないものだったら、身体にいいどころか、害になることさえあります。
「体質ってなに?」
一般的に体質といいますが、西洋医学の領域ではあまり考慮されていません。分かりやすい例が薬を飲む量です。体格のいい大柄な男性も小柄できゃしゃな女性も青年も老人も大人なら基本的には同じ量の薬を投与されます。ところが漢方を中心とする東洋医学は、その人の体質を治療の基本にしていますので、同じ病名でも人によりまったく違った薬が処方されます。また違う病気であっても体質が同じなら、同じ薬が処方される場合もあるのです。
「フォルス」でもその人の体質により滞在中の食事の内容を変えたり、その人に合わせた運動法を処方しています。
「体質の見分け方」
民間療法の中にも体質を見分ける方法がありますが、医療機関でも広く取り入れられており、科学的な臨床実績もたくさんある漢方の分類法が最も信頼性があるといえるでしょう。漢方では「寒・熱」「湿・燥」「降・昇」「虚・実」という4つの物差しを組み合わせて体質を見分けます。この物差しはシーソーのようになっていて、どちらにも偏らないでバランスがとれているのがいい状態になります。
それぞれを説明すると、まず「寒・熱」これは自分でも分かりやすいと思います。「寒」は寒がりで、冷え性、冷えると身体の調子が悪くなり、クーラーが苦手で暖房やお風呂に入ると痛みがなくなったり、楽になります。逆に「熱」は暑がりで夏や暖房が嫌いで、クーラーが大好きな人です。「寒」の
人は身体を冷やすような冷たい飲み物、生もの、生野菜、果物を控えめにして、身体を温める根菜類や番茶などの温かい飲み物を取るようにします。また、時々お風呂で半身浴をして下半身をよく温めるようにすると良いでしょう。それでもまだ冷えがひどいようであれば漢方を服用したり、ホッカイロを腰や下腹に貼ってみるのもいいでしょう。
「熱」の人は出来るだけ肉や油ものを控え、ご飯と野菜中心の食事にします。野菜があまり食べられない方は野菜ジュースを飲んでもいいでしょう。
やっかいなのは、「寒」「熱」が両方ある場合です。現代の生活は自然からかけ離れた暮らしをしているので、ひとりの人間に両方の症状が現れることがよくあります。例えば、寒がりで身体は冷えているのに冷たいジュースやビールがやめられない方がいます。これは脂っこいものや辛いもの、味の濃いものの食べ過ぎで胃に熱がこもってしまい、その熱を冷ますために冷たい飲み物を飲んでしまうのです。飲んだときは一時的に胃の熱がおさまるので気持いいのですが、身体は冷えてしまうのでそのようなことを続けていると体調をくずしてしまいます。 次に「湿・燥」ですがこれは身体の中の水分代謝の状態を表し「湿」は尿の出が悪かったり、むくみやすく、雨の日や梅雨になると体調が悪くなります。「燥」はのどが乾きやすく、身体が乾燥して、乾燥する季節になると体調が悪くなります。
「湿」の人は水分代謝が悪く、身体に余分な水分をため込みやすい傾向にありますから、あまり水分を多く取らないようにしなければいけません。お茶やお水を飲むときも、少しずつ何回にもわけて飲むようにするといいでしょう。また、半身浴をしたり、サウナに入ったりしてよく汗をかくのもいい方法です。「燥」の人は身体に滋養を与えてくれるような、黒胡麻やクルミをよく食べるといいです。
日本は島国で大陸の国に比べると湿度が多いため、どちらかというと「湿」の人の割合が多いようです。皆さんの周りにも天気が悪くなると調子が悪くなる方がいるのではないですか、リウマチや神経痛、喘息の方などは特にその傾向があるようです。 また、男性よりも女性には冷え性の方が多いですね、むくみが気になるという方も多いのではないでしょうか、そのようなことを考えると女性には体質的に「寒」と「湿」を持っている人が多いということです。そのようなことを考えると、一時流行した水を飲む健康法というのが体質に合う女性はそんなに多くはないのです。「寒」と「湿」がある人がたくさん水を飲んでいると冷えやむくみがひどくなり健康になるどころか、体調をくずしかねないのです。もちろんそれと反対の体質の方なら健康法になるのですが。
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