「体質の見分け方・その2」
先回のニュースレターでは体質とはなんぞやということから、実際に体質を見分ける方法について書きましたが、今回はその続きのお話です。漢方では体質を見分ける場合「熱・寒」「燥・湿」「昇・降」「実・虚」の4つのものさしで調べます。このうち「熱・寒」と「燥・湿」については前回のニュースレターに掲載してありますので、今回は「昇・降」からお話しします。
「昇と降」
「昇」はのぼり過ぎ、「降」は下り過ぎと考えてもらえばわかりやすいと思います。
「昇」の人はイライラしやすい、のぼせ、顏だけがほてる、目まいがしやすい、あがり症などの症状があります。これは頭の方に「気」や「血」が昇りやすいためにおこる症状で、ひどくなると脳血管障害になりやすい傾向があります。
「降」の人は下痢しやすい、脱肛、胃下垂、子宮脱、眼瞼下垂、尿がもれる、うつ等の傾向があります。これは「気」や「水」が下に下りすぎて起こる症状で、ひどくなると垂れ流しになりやすい傾向があります。どちらも出来ればなりたくないですよね。そうならないためにも、「昇」の人は「気」を下に下げることを意識的におこないます。気功や丹田呼吸法、瞑想のようなリラクゼーションは特に大切です。また、足もみや青竹踏み等で足に刺激を与えるのも気を下にもってくるよい方法です。「降」の人は身体を緩める食べ物(甘いもの、生もの、果物)の取り過ぎに注意し、水分も少し控めにしたほうがいいでしょう。内臓下垂の人は横隔膜を鍛える意味で、腹式呼吸も効果があります。
「実と虚」
次に「実・虚」です。「実」は「邪気・汚血・水毒」が身体の中に溜まっている人で、体格がよく活動的で、いつも何かをやっていなければ気が済まないような人です。このような人は、身体も元気なのですが、病気にも勢いがあり、本人が気づいたときには手遅れになっていることが多々あります。
「虚」は身体に必要な「気・血・水」が不足していて、顔色が悪くあまり元気がなく疲れやすい人です。本人はいくつも辛い症状があるにもかかわらず、病院で検査しても何ともないと言われることがよくあります。自律神経失調症や慢性疲労症候群といわれる方の多くがこの状態の方です。
「実」の人は胃腸の吸収力も旺盛なので、今のような飽食の時代にはどうしても身体に毒素をため込みやすいのです。この体質の人は身体から老廃物を
出すことが大切です。一番お勧めしたいのが「断食」この体質の方ならさほど辛くなく、むしろ爽快感を感じながらおこなうことが出来ます。また、吸い玉(カッピング)で血液をきれいにしたり、サウナで汗をかいたり、カラオケや運動で発散させることも効果的な方法です。
「虚」の人はまず胃腸の吸収力を高め、身体に必要な「気」や「血」を作れる身体にしなければいけません。そのためには短期の断食をしたり、少食にしてよく噛で食べる習慣を身に付けなければいけません。また、消化された食べ物がより効率良くエネルギーになるように、深い呼吸で酸素をたくさん取り込まなければいけません。そのためにも食事療法と合わせて、丹田呼吸法をおこなうといいでしょう。また、「虚」の状態がかなりひどい人は漢方薬の服用をお勧めします。ただし、漢方専門のクリニックで相談して自分の体質をしっかり見てもらってからにしましょう。勝手に自分で判断して合わない薬を飲み続けていると健康を害することになりけねません。「虚」の体質の方は身体に勢いがないのでいろんなことをやってもなかなか効果が現れにくいのですが、自分の体質に合った健康法をやっていると必ず少しずつ変わってきますからあきらめないで一度専門の先生に相談してみるといいでしょう。
「4つのものさし」
このように東洋医学では「熱・寒」「燥・湿」「昇・降」「実・虚」の4つのものさしを使い、その人の体質を見分け、その人に合った治療法を選んでいきます。
民間療法で「陽」とか「陰」とかいうのは、「熱・燥・昇・実」のグループを総称して「陽」と呼び、「寒・湿・降・虚」のグループを「陰」と呼んでいることが多いのですが、現代人のように自然からかけ離れた生活をしている場合、「熱」と「湿」が組合わさったり、同じ人に「熱」と「寒」が同時に起こったりして、実際の臨床ではかなり複雑になっているのが普通です。
長年かけて出来上がった体質を変えていくというのは確かに大変なことで、時間もかかります。フォルスの場合、まず6泊7日のコースで身体にたまった老廃物を掃除し、良いものをきちんと吸収し、悪いものは排泄できる身体にして、それから毎日の生活でその人に出来る食事法、ストレスのコントロール、運動、健康法をアドバイスします。また、必要な方には漢方のクリニック、治療院を紹介して、自宅に帰ってからのフォローアップもしています。
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