やすらぎの里 通信  Vol, 43 平成14年10月30日発行

●目次 
○断食2
○やすらぎの台所から  「秋の献立」・釜揚げシラスと水菜のサラダ・大根のポタージュ・ひよこ豆入り玄米ご飯・根菜のクリーム煮・南瓜のコロッケ・グリーンソース・さつま芋のプリン・タンポポミルクティー
○情報スクランブル  「書籍紹介」 ○アサーティブ  PHP研究所 岩船 展子 渋谷 武子著
○キラッと生きる 
○アロマの風を・・・
○寄せ書きから


  
 【断食2】
 
東京都知事の石原慎太郎氏の著書「老いてこそ人生」の中で氏の断食体験が掲載されて話題になっています。
また、たくさんの健康雑誌や女性誌でも「断食」の記事が掲載されています。
ちょっと興味はあるけど、正直なところ不安もあるのでなかなか思い切って挑戦することが出来ない方も多いと思います。
そんなあなたのために今回も前回に引き続き「断食」を特集いたします。

「断食の注意点」

断食を効果的におこなうためには大原則があります。
それは断食した日数と同じ日数だけ段階的に増えていく食事(回復食)を取るということです。
断食をするとお腹の中が空っぽになるので、食べ始めるときに消化の良い流動食のものから徐々に増やしていかないと胃腸に大変な負担がかかってしまいます。
急に消化の悪いものや固形物を入れると胃が痛くなったり、気持ちが悪くなって吐いてしまうことがあります。
空腹の時は身体が栄養を欲しがっているので吸収も良くなっています。
そこに急に高カロリーのものをたくさん食べると普段以上に吸収されて、体重はあっという間に戻ってしまいます。

そのような断食の害を減らし、効果を充分に引き出すために考えられているのが回復食なのです。この回復食をしっかりおこなうことこそが断食を効果におこなう上で最も大切な注意点なのです。また、今まで何度もリバウンドを繰り返している人やストレスがたまっている人は、自宅での断食は向きません。
そのような方は一度専門の施設にいって正しいやり方を体験してから、自宅でおこなうようにするといいでしょう。

「自宅でおすすめの半日断食」

断食に興味があるので一度体験してみたいと思っている方は結構いるのではないでしょうか。
ただ、仕事をしているのでなかなか長期の休みがとれないので、専門の施設に行くのは難しいからとあきらめてしまっている方も多いのではないでしょうか。

そのような方にお勧めなのが自宅で手軽にできる半日断食です。
半日食べないだけなので、朝食と昼食を抜いて夕食を回復食に当てます。
「朝、昼食べないなんて休みの日なんかいつもそうだよ」という方も多いかもしれません。
ところがそんな時はたいがい夕食をお腹一杯食べてしまっているのではないでしょうか。
断食の鉄則である回復食をおろそかにしては効果が期待できないだけでなく、リバウンドという恐ろしいおまけまでついてきます。
回復食を制するものだけが断食を成功できるのです。 

「半日断食のメニュー」

前日の夕食できるだけ軽めの食事にする
当日 
 朝食と昼食  野菜ジュース(市販のパックのものでよい)
 夕食  全粥(市販のレトルトのお粥)、冷奴(豆腐半丁)ジャガイモの味噌汁、梅干1個
翌日
 普通食(できるだけあっさりした和食が理想的)

 「自宅でおこなう場合の注意点」

お昼すぎから空腹を感じ夕方がピークになります。
自宅にいるとお腹が空いてくるので、できるだけ出かけるようにすると空腹を紛らわすことができます。
公園を散歩したり、映画を見たり、図書館にいったりと自分の好きなことをしている時は空腹がつらくありません。
また、夕食の回復食を食べ過ぎないようにするために、夕方買い物に出るのは控えるようにします。
空腹の状態で買い物に出るとたくさん買いすぎてしまうので、買い物はできるだけ前日までに済ませておきましょう。

「長期の断食は専門の施設で」

実際に断食をやってみると中にはあまり空腹感を感じないので、半日だけでなく1日、さらに2日、3日と断食を伸ばしてしまう人もいます。
はじめにも書いたように断食のもっとも大切だけど難しいのが断食後の回復食です。
断食はできても1日以上の回復食を自宅できちんとおこなうことはほとんど無理だと思ったほうがいいでしょう。
自宅では危険や失敗のともなう長い断食をおこなうよりも、失敗のすくない半日の断食をおこなうほうが安全で確実な方法です。

1日以上の断食をおこなう場合は出来るだけ専門の施設でおこなうことをお勧めします。
専門の施設では周りに食べもがないので空腹に悩ませることがありません。
また、自宅から離れることで日常生活を忘れられるので普段のストレスが気にならなくなります。それで日頃ストレスを食べることで解消している人でも食べないことがつらく感じないのです。

「断食後の食事の注意点」
 
断食後は普段より胃腸の働きが良くなっているので食べ物が吸収されやすくなっています。
是非これを機会に普段の食生活を見直すようにしましょう。
日本人にとっての理想的な食事は伝統的な日本の食事です。
特に断食明けはあっさりした和食が理想的な食事といえるでしょう。


 【やすらぎの台所から】

 「秋の献立」
・釜揚げシラスと水菜のサラダ
・大根のポタージュ
・ひよこ豆入り玄米ご飯
・根菜のクリーム煮
・南瓜のコロッケ・グリーンソース
・さつま芋のプリン
・タンポポミルクティー

寒くなり根菜が美味しい季節になってきました。
大地の滋養をたくさん蓄えた根菜で、疲れたみなさんの心と身体が温められるような、そんな料理をお出しできるように今日も心を込めて料理しています。   文枝


 「やすらぎの里のレシピより」

○大根のポタージュ

「材料」 4人分
大根1/3本、玉ねぎ1/2個、豆乳3カップ、だし汁2カップ、小麦粉大さじ3、塩コショウ少々

「作り方」
1、大根と玉ねぎを薄くスライスする。
2、スライスした玉ねぎを油を入れた鍋で少し炒め、小麦粉を入れ1分炒め、だし汁とスライスした大根を加え15分間弱火で煮て冷ます。
3、2が冷めたらミキサーにかけどろどろにして、鍋に入れて豆乳を加えて泡だて器でよくかき混ぜながら塩コショウで味を調える。
4、あれば大根の葉をゆでてトッピングにする。
※泡だて器でよくかき混ぜると、ふわっとした口当たりの良いポタージュになります。

○さつま芋のプリン

「材料」小さいカップ8個分
サツマ芋(蒸して皮を取った状態で)200g、豆乳250cc、卵1個、バター少々、塩一つまみ、はちみつ大サジ2、コーンスターチ大サジ1「カラメルソース」 砂糖60g、水大サジ2

「作り方」
1、カラメルソースの材料を鍋に入れ、中火でとろとろになるまで煮つめる。
2、カップにバターを薄く塗り、カラメルソースを入れる。
3、蒸したサツマ芋と他の材料をミキサーに入れてよく混ぜ合わせる。
4、2に3を流し入れ湯気の上がった蒸し器で15分蒸す
※温かくても、冷やしても美味しくいただけます。 


 【情報スクランブル】

「書籍紹介」
○アサーティブ    PHP研究所 
  岩船 展子 渋谷 武子著

「あなたは必要な時、自分の意見をはっきり言えますか?頼みごとをされたとき自分の気持ちを偽らずにイエスやノーを言えますか?」
この質問に自信を持ってイエスと答えられない多くの日本人にお勧めしたいのがこのアサーティブ(自分も相手も大切にする自己表現)という本です。 
職場や家庭で自分の思いをはっきり伝えられずにストレスを溜め込んでいる人は是非読んでみてください。


「こんな滞在もおすすめです」

やすらぎの里に取材にくる雑誌やテレビはそのほとんどが断食の体験取材です。
その記事を読まれた全国の方がやすらぎの里を断食の施設だと思われるようです。
やすらぎの里は本来、湯治(温泉保養)・食養(食事療法)・東洋医学の3つを治療の柱にしてリラクゼーションプログラムと運動を組み合わせておこなう施設です。 
 
確かに断食は劇的な変化のある療法ではありますが、いざやるとなるとそれなりに覚悟が必要になります。
初めて利用される方は、自分の身体や食事を見直す大きなチャンスになるので挑戦して欲しいと思いますが、2度目3度目の利用を考えている方には是非食事のコースをお勧めします。

食事のコースですと普段どおりに動けますので、やすらぎの里のプログラム以外にも様々なアクティビティーを楽しむことが可能です。
例えばお勧めのアクティビティーには以下のようなものがあります。

ダイビング・シュノーケリング・シーカヤック・パラグライダー・テニス・ゴルフ・サイクリング・自然研究路完走・ハイキング・磯釣り・船釣り・みかん狩り・お茶摘み・体験工房・伊豆温泉めぐり・美術館めぐり等々、海あり山ありの伊豆ならではのアクティビティーが沢山あります。
あまり忙しくしすぎるのも考え物なので、一週間コースの方でしたら週の前半はゆっくりと温泉につかり、気持ちのいい治療を受けて、ゆっくり本でも読んで気力を養い、元気が出てきた後半で思いっきり身体を動かしてみるのもいいと思います。

やすらぎの里のスタッフはみんな海や山の遊びの達人なのでいらした時には気軽に相談してください。とっておきの穴場も教えてあげますよ。


 【キラッと生きる!】

このコラムは私(野見山)が鍼灸師となり、このやすらぎの里で働き出すまでの経験を綴ったものです。
疲れたサラリーマンだった私が、今のように元気になれた理由を書く事で、同じような人を少しでも応援できれば~そんな気持ちを込めて書いています。

「第四話 事を成す 」
 
私についた病名は「低脊髄液圧症候群」という変な名前。
聞いた事も無かった。
先生いわく、脳というのは、脊髄液という海の中にプカプカ浮いている豆腐のようなもの、だそうだ。
だから海の水が干からびる、つまり髄液が急激に減ると浮いていた脳が下にグゥ~ッと押付けられ激しい頭痛や吐き気が起こるらしい。

~なるほど、よく解りました。で、どうすればよくなるのでしょう?~
~残念ながらこれといった治療法はないのです。
でも命の危険はないから安心して下さい。~
~いやいや、そう言われても困ります!
仕事もあるし、結婚したばかりだし~
~まあ、今はあせらず、ゆっくり休むことですね~

主治医の先生はそう静かに微笑むとグイッと私を押さえつけ、腰から脊髄の中に太い注射をズブリと刺すのだ。
くそ~偽善者めぇ~あぁ……。
(最近ニュースステーションで、この病気の特集をやっていた。自分の血液を髄液の替わりに脊髄の中に注射して治す方法が試されているとのこと。いずれにしても痛そうだ)

原因は解らない…現代医学ではそんな言い方しか出来ないのだろうけど 、本当の原因は自分が一番良く分かっていた。
確かにその時は、身も心もヘトヘトに疲れていた。
でもそれ以上に感じていたのは、今まで続けた背伸びがもう限界に達している、ということ。
~常にテキパキと仕事をこなし、いつも自信にあふれ、元気いっぱい輝いている自分~
いつの頃からか、私はそんな理想の自分を心の中に描き、そうあろうと努めてきた。

最初は少し背伸びすれば、それは簡単に達成できた。
誉められたし嬉しかった。しかし自ら作り上げた虚像は、次第に一人歩きをはじめる。
そしてその後ろには、それに追いつこうと必死でもがいている本当の私がいた。
背伸びがだんだんつらくなってきたけど、それをやめる勇気もなかった。

確かそんな頃だったと思う。
久しぶりに学生時代の親友と会う機会があった。
中学から大学までの10年間を共に剣道部で過ごした友である。
彼は私の目を見て、こんなことを言った。
「お前ちょっと見んうちに、ほんましょうもない顔になってもうたなぁ・・・。」
~私は何か間違っていたのだろうか?

今になって振り返れば、この病気は本当の自分が発信してくれた、魂のメッセージなのだと思う。
「背伸びはもういい。俺は俺でしかないんだよ。」
「立止まって深呼吸して、もう一度考えようよ。」
おかげで私は、とことん自分と向き合う時間を与えられた。
これまでの事、将来の事、自分の事、妻や家族の事、仕事、生きがい、夢…
色んな事から逃げずに自分を見つめた貴重なひとときだった。

「人は人生のシナリオを、自分で決めてから生まれてくるんです。だから人生で起こる事全ては必然であり全てに意味があるんですよ。」
そんな本を読んだ。
ホントかウソかは解らないけど、じゃあ私の人生の意味って何なんだろ?
御飯を食べ、顔を洗い、ウンコをし、働き、眠る。
その繰り返しで年を取り、いつか死ぬ。
何の為に?誰の為に?

そんなある日、何気なくテレビを見ていた私はある番組に興味をそそられた。
それは「私を変えた1冊の本」という題で有名人が、自分の推薦する本をエピソードと共に紹介するという内容であった。
その時のゲストはソフトバンクの孫社長。彼が、なにやら熱く語っているのである。
「私はこの本を読んで、体中の血がたぎるのを感じたんです。まさに血沸き肉踊る興奮。その時から私は企業家になることを志し、そして今の私がいるんです。」
正直いって、私はそれまでの人生で心の底から“たぎる”という経験をしたことがなかった。

「どんな気持ちなんだろう?」

その本の名前は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」。
夢中になって読んでみた。むさぼった。
本当に血がたぎった!(単純な性格なのだ)

竜馬はいう。
「世に生を得るは、事を成すにあり。」と。
それぞれの人にそれぞれの“事”がある。
彼の場合は日本を創る事。
孫社長は会社を興す事。
ならば俺の“事”って何なんだ?
何かが見えかけてきた気がした。   (続く)


 【 アロマの風を・・・ 】

鈴虫などの虫の鳴き声が辺りに響き渡り、肌寒さを感じる夜が多くなってきました。
皆様、如何お過ごしですか?
夏の疲れなどを感じてられるのではないでしょうか?

前回第一回目のラベンダーに続き,今回ご紹介致します精油は、「スィートオレンジ」です。
皆さんにも馴染みのある香りだと思います。
甘~く、清々しい香りですよね!このオレンジやレモンなど果実から取る精油は、圧搾法という方法により果皮より抽出します。
皮の部分を凝視すると小さい点が無数に点在しているのが見つけられますが、あれがまさしく“エッセンシャルオイル”です。

オレンジの薬効に最初に着目したのは、古代の中国の人でした。
未熟果の輪切りを乾燥させたき実は、主に、消化促進や痙攣を鎮めるためなどに使われていました。

スィートオレンジは、前回のラベンダーと同様、リラックスをもたらせてくれる香りです。
ストレスや欲求不満などが過剰になると、気の流れが滞リます。
「スィートオレンジ」は、この滞った気を動かし緊張した心や身体を和らげそして温め、不機嫌さやイライラを一掃してくれます。

いわゆる循環を良くする働きをもつため、胃、腸、肝臓といった循環器の強壮作用があります。
仕事や対人関係などにストレスやイライラを感じ、胃もたれ、膨まん感、イライラのよる不眠,便秘,疲れ・・・などを感じておられる方は、秋の夜なべにこの香りで心と身体を和らげてみませんか?

どうも胃の調子が優れない時に・・・
この精油をお持ちのハンカチに2~3滴垂らして、香りを吸入しましょう。お出かけの時にバックに忍ばせておくと便利です。

次回は、すきっとしてリフレッシュをさせてくれるウッディー調の香りサイプレスをご紹介致します。      河田


 【寄せ書きから】

本当に信じられないくらいリラックスできました。
断食は確かにきつかったのですが、その後の爽快感は言葉では言い尽くせません。
最終日のディナーはあまりに美味しいのと感謝の気持ちで涙が出てしまいました。
これからはあまり情報に振り回されず、自分の身体に聞いて健康な身体作りをしたいと思います。本当にありがとうございました。     30代 女性

会社のリフレッシュ休暇を利用して来たのですが、身体だけでなく心も頭もリフレッシュできました。
命の洗濯とはまさにこのことだと実感しています。
先生、スタッフの皆さま本当に有り難うございました。    50代 男性

初めて利用しましたが日常のわずらわしいことをすべて忘れることが出来リラックスできました。断食はとてもよい経験で、今までの食生活がいかに乱れていたか、しみじみ実感し反省しました。また、いろいろ悩みを抱えている方々と話をしているうちに自分の悩みがちっぽけに思えて、意識も変わりました。
本当にお世話になりました。     30代女性

ゆったりとしてあまり規制がなく、のんびり出来る空間なのでとてもリラックスして滞在することができました。
また、スタッフのみなさんの優しい笑顔で優しい気持ちになれました。
おかげさまで心も身体もすっかりリフレッシュすることができとても満足しています。
有難うございました。また是非伺いたいと思います。    20代 女性

集まるゲストの方々も雰囲気も和気あいあいで楽しい時間を過ごさせていただきました。
アットホームな感じで心からくつろげました。
また、是非来たいと思いますのでよろしくお願いします。    60代 女性


 「編集後記」

先日、やすらぎの里で使うお野菜を作ってくれている家の方を訪ねてきました。
60代の素朴な農家のおばさんは日に焼けてつやつやした顔で畑を案内してくれました。
おばさんが一人で作っているというその畑は、ふかふかした土にしっかりした野菜が元気に育っていました。
一生懸命に作っている農家さんの畑は、隅々まで手が行き届いているのですぐにわかります。
野菜のことや土のこと、自然の有難さなど、話してくれたことは、どれも体験から出た味わい深いお話でした。                                    
自給に向けた農的な暮らしを目指して、野菜作りから勉強を始めています。   大沢

  

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