この仕事に就いて10年になる。
その間、自身の大病も経験し、また多くの悩める人々と接する中で、僕は寿命は定まっているという考えに帰着した。
治るときには治る。
治らないときは治らない。
ということでもある。
病気を治すことを強調すればするほど、病気を忌み嫌い、健康は実現すべきことになる。
難治、生まれながらの病気を抱える人に合わせる顔がない。
世の中の思潮は、「強運をつかむ」「夢をかなえる」「人生がうまくいく」と個人的な成功体験から敷衍して自己啓発を喧伝し、ツイてない人、夢をいまだにかなえられない人が一段低く見られてしまうようだ。
もちろん意志の力で変えられるものもある。
それが生きる意味だろう。
変えられないものもある。
そのことに対してどのように向き合うかということも、人間の生きる意味であり、人間としての真価を試されていると思うのだ。
僕は光に猛進するのではなく、足元の影をみつめながら、自らが光を発することができるようになりたい。
養生館には毎週、様々な境遇の方が訪れますが、その一人一人の人生を尊重し、病気に対する恐れ、健康にまつわる呪縛を解き放つお手伝いができればと思っています。
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